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25cm口径反射望遠鏡「銀次の部屋」IV 兼 亀田 滋のHP:掲示板のコーナー3

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技術話題その2。「オリンパスペン」復活。これぞ正統....。

先日、SIGMA DPに難を言いました私でしたが、デジタル版としての「オリンパスペン」復活のニュースに、「ああ。これこそが正解なんだ。」と思いました。

http://olympus-imaging.jp/pen/index.html

新フォーサーズ規格CCD機は、パナソニックからも既に出ていました。しかし外見だけ「一眼レフ」。中身はプリズム・ミラー機構がない、いわゆる「ネオ一眼」(レンズ交換は可能)であるそれは、長年「プリズム・ミラー機構は、銀塩カメラがレンズとフィルムの位置関係をどうにも原理的に崩せず、ファインダーとフィルム面の視差をゼロにするための不可避の構造であっても、撮像した情報を電気的にどの方向にでも曲げたり折ったりできるデジカメには不可欠ではない。生産ライン温存(=高精度機種開発費用の低減には精度の担保という意味で有効ですが安易です)と、ユーザの奇妙な高級志向が妥協しあったデジカメ進化の妨げの象徴である。」と何度も言ってきた私でさえ、「これを一眼って言うの?」「これを一眼というなら、光学ファインダーが省略されたF31など今のコンデジも全部一眼じゃないか」「今までネオ一眼とか控えめに各メーカが言ってきたのに、一眼機構を作るカメラメーカ母体を持たないパナソニックがそれをやると、カメラ雑誌も文句言わず、他メーカのデジ1と比肩させるのは、またライカ・ファシズムかっ」などと、非常に辟易した気分を感じていたものでした。

要するに、その「他のメーカのデジ1に比肩させようとするデザイン」「パナソニックがそれをやればカメラ雑誌は文句言わないのは、またライカ・ファシズムか」のところが、非常に気に喰わなかったのでしょうね。

新「オリンパスペン」の画像を見たときに、そのことに気づきました。

私が小学生の頃、父親のお下がりで最初に使ったカメラは「オリンパスペンS」でした。1959年の初号機「ペン」の改良版で、当時6800円くらいのものでしたでしょうか。勿論、それを使って望遠鏡と組合せて月を撮ったりしましたが、やはり撮影時に像面が確認できる一眼レフが欲しくなり、中古を自分で買ったのが「オリンパスペンFV」(FTの露出計なしモデル)でした。

それを買うまで、何冊も穴が開くまで眺めた「オリンパスペンFT・FV」のパンフレットには、はっきり「一眼レフ特有の不恰好な三角屋根を取り去りました」と書いてあったのを記憶しています。
ペンタプリズムではなく、ポロプリズムを使った、光路折り曲げ回数が1つ多い曲芸的設計を超小型カメラの筐体に押し込み、それを実現していたのでした。

世に生まれた最初の一眼レフは、1948年の「Contax S」です。戦前には既にその原型、しかも市販品のそれよりもっと高級機構(M42スクリューマウントとして後世に広く残ったマウントではなく、現代と同じバヨネット式レンズマウントや縦走り金属幕速シャッターなど。市販品のSは横走りのゴム幕。)が備わったものが既に開発されていたとのことでした。その機構・形状があまりに斬新で、どのメーカもそれからずっとその形状設計を崩せずに居たのでした。
オリジナルが余りに斬新で完全だったから設計を変えられなかった、というのは、当時の各メーカ設計者達の怠慢でもある、という評論を読んだことがあります。その評論でも忘れられていた形でしたが、1963年の「オリンパスペンF」シリーズというのは、後にも先にも、そのオリジナルを崩そうとした唯一の試みだったと今から顧みることができます。新しく良いものを生み出そうとする、設計者の反骨を感じることができます。

当時、子供ながら、そしてそのような歴史を完全に知っていた訳ではありませんでしたが、「オリンパスペンF」には、反骨の魅力、他の凡百の機種にない唯一無二性というものは確実に感じさせられたものでした。

ハーフサイズカメラというものに欠点は感じませんでした。というのは月はそうでもありませんが、惑星を撮るときには、フィルム面を全部使うことはないのでした。それならフィルムを半コマ幅で巻き取りできるハーフサイズというものは、当時子供だった私には費用メリットのほうが大きかったのでした。シャッターもレンズシャッター機の真の怪物「Contax I」が規定したフィルム面直前を縦あるいは横に走行する幕型機構ではなく、超小型筐体に薄型ジュラルミンの扇が回転することで、シンプルな機構ながら精度を確保するという斬新設計もファインダー同様にあったのでした。

何が斬新かと言うと、幕速シャッターの物理機構上の最高速が例えば1/500秒だったとします。そこで1/1000秒の露出を実現するには、幕速シャッターの開口を半分にする(スリットのようにする)と、フィルム面から見た露出を半分にできるという機構上のメリットがあります。ところがその一方、その方式の場合、極めて早い被写体の場合、スリットの走行間の被写体の高速移動があった場合、結果的に被写体の像が変形したり歪んだりすることが原理的に避けられません。縦走り幕速シャッターの場合、フィルムの上部分と下部分で若干のタイムラグが出るからです。(横走りの場合、左と右で同様に出ます。)
ペンFシリーズの薄型ジュラルミンの扇シャッターは常に扇の開口角度は固定で、扇の回転速度だけでシャッター速度を制御します。機構が単純な上に必ずフィルム面が全開放される露出の仕方なので、そのような像の歪みは原理的に発生しない、とのことでした。

開口面積が小さいハーフサイズだったからこそできた離れ業でした。逆手にとった、というか。フルサイズで同じことをやると回転半径の確保でカメラ筐体は巨大化するでしょうね。

そのように、中古品ながら、持つ喜びというものがそれにはありました。独自機構の集大成のようなその製品のありように、カメラの未来のようなものも感じたものでした。今、顧みても「Contax I」「Contax S」に比肩するほどの独自なデバイスだった、と感じます。

それはフルサイズ一眼「オリンパスM(後のOM。ライカからケチがついたという話。唾棄すべきセコイ話です。)シリーズ」で小さいながら三角屋根が復活し「Contax S」形状への回帰が為されたとき、「今までのあの否定は何だったのか」と強く思わされることにもなりましたが....。

それがここに来て、復活したのでした。
「他のメーカのデジ1に比肩させようとするデザイン」の真逆を行く発想の結実として。

EPSON RD-1s やRICOH GXシリーズのような、「ライカ気分を味わうオモチャ機構満載」のものではなく、本当に、本来の設計の基本であるべき「機能と機構が結果として形成する外観の美」を持って、それは復活したのでした。
それが子供の時にその唯一無二性に惚れて愛用した「オリンパスペンF」の形状のままにそれが復活したことに、大きな感慨を禁じえません。

新フォーサーズCCDよりもSIGMA DPのFOVEONセンサーのほうが面積も大きく、方式も高級かもしれません。他社一眼用素子よりも若干小さめです。「だから駄目」ではないと思います。ハードウエア性能で基本性能のベーシックを担保することは重要ですが、それが全てではない、と先日書いた通りです。

クラシカルな外見も機能の具現の結果であり、ジジイどものオモチャではない、回顧趣味の道具でもない、さりとて過去を無視するのではなく、そこから新しいものを築こうとする、その心意気は高く評価されるべきでしょう。

「ペン代わりに使えるカメラ」。ペンシリーズの最初のコンセプトは確かこれでした。
ネーミングの由来もそこにあります。
ハーフサイズの特性から、フィルムのランニングコストが半分になることで、メモやスケッチなど、ペン代わりに使って欲しい、全員直立不動の記念撮影だけでなく、ということなんでしょう。
50年も先んじて、今のデジカメのありようを見抜いたかのような、その予見性が素晴らしいです。
これぞ、カメラメーカの眼力、面目ではないでしょうか。
ライカやツアイスを単なるブランドネームプレート一枚の価値に貶めたパナソニックやソニーには、到底持つことのできない視線である、と両社には悪いですが言い切ります。

EPSON RD-1s や ライカM8 などにデジカメの未来はないです。この新オリンパスペンこそ、今まで私が言ってきた「これからのデジカメの進化の方向」を具体化した最初のデジカメとして(SIGMA DPでは絶対に無いことは先日書いた通りです)、これからのデジカメの歴史と記憶に残るものとなるでしょう。「これこそが正解。そしてこれからの正統。」....そう感じさせられ、上記のような歴史を振り返るとき、感慨もひとしおです。


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テーマ:★カメラ&レンズ・機材 - ジャンル:写真

  1. 2009/06/20(土) |
  2. 技術情報
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

こんばんは!
亀田さんのカメラ記事、毎回、楽しく拝見しています(^^)

マイクロフォーサーズは成功だと思います。
5月の販売台数ではパナソニックがソニーを抜いて3位に躍進してます。
若い人や女性など古い一眼レフ自体をあまり知らない層に受け入れられたのが大きいそうです。

今回のオリンパスペンはパナソニックと全く逆のカメラですね。
秀丸が最初に買ったカメラはOM2S&Pで、オリンパスペンの事は
よく知らないですが、オリンパスからこんなカメラが発売される事に感動です。

秀丸は先週、新しいコンデジ(EX-Z400)を購入ましたが、予想以上に良く写るので驚きました!
2万円で買えるコンデジで綺麗な写真が撮れ、HD動画まで撮れるとは・・
自分の中で一眼レフへの拘りが無くなっていくのを感じずにいられません。
  1. 2009/06/24(水) 00:42:11 |
  2. URL |
  3. 秀丸
  4. [ 編集 ]

秀丸さん

秀丸さん

> 亀田さんのカメラ記事、毎回、楽しく拝見しています(^^)

ありがとうございます(^^)。
今回はちょっと想いが入りすぎたかな、とか思ったりしてましたので、反応を頂けると非常に救われます。
「メーカ批判なんかして」とか、影で揶揄する人とか出てくる前に、拙意見に賛同を頂戴しておくと「なるほど正しい見方として支持もされているんだな」という空気も醸成されるかと。

> マイクロフォーサーズは成功だと思います。

これはパナの「なんちゃって一眼(レフじゃないけど)」戦略の勝利ですね。

> 若い人や女性など古い一眼レフ自体をあまり知らない層に受け入れられたのが大きいそうです。

もう既に私も「じじい組」に十把一絡げで分類されてよいほど、新しいデジカメユーザの見方と違ってきている訳です(^^)。

> 今回のオリンパスペンはパナソニックと全く逆のカメラですね。

そうです。先日書いた通りです。画期的ですね。
今までは液晶の進化(高画素化、階調の高度化)が「理想のデジカメ」へのネックだったのでした。
それがクリアできる今、写る電子画像のイメージを撮影時に把握するのに、一眼レフのプリズム・ミラーシステムは要らなくなったと言えるのですね。
「いやプリズム・ミラーシステムのほうが、見た感じに近い。液晶では到底再現は無理。」という人は必ず要るものです。
でも最終画像が電子画像ですからね。見た感じに残るのではない。まあそういう人はデジ1をこれからも使えばいいでしょう。

新オリンパスペンのサイトにも「欲しいのはデジタル1眼ではなく、デジタル1眼でなければ撮れない写真」とあります。
その通りだと思うのです。いかつい旧スタイルの機材は妙な所有欲を満足させるかもしれません。
でもその大きなごつい機材を、孫の挙動を撮るのに、おじいちゃんが振り回す風景は、やっぱりどこか違ってます。

ポケットに入る一眼性能....そういう宣伝コピーを見ますと、今までのクラシックスタイルにこだわったSIGMA DPや他の「ライカじじい御用達」機種が、如何に形だけこだわっていたか、進んで過去に縛られていたかが明白でしょうね。そして旧ペン以外にもパールコーダー、補聴器、胃カメラなど、超小型機器に対する尋常ならぬ傾倒、これはオリンパスのお家芸でもありました。

なので、「よくぞここまで。流石。」と思うのです。
このカメラが即、市場で大ヒットすれば他メーカも追随するでしょう。でもユーザ側の「妙な所有欲」のほうがどうなるか。「それ、一眼レフじゃないの?」「一眼と同じ画像が撮れるよ」「でも一眼レフじゃあないんだよね」....こんな会話が「一眼形状のカメラを買えばよかった」とユーザが思うことにつながるなら、まだ苦難は続きますね。昔、ペンFVを持っていたときに似た会話は際限なく繰り返されました。(この点、パナの「なんちゃって一眼」戦略はその意味では賢いです。形状を他社一眼に似せたことで、そういうケチがつきませんから。が、今後のデジカメ進化には逆流な動きですね。)

でも間違いなく、今後のスタンダードはもう生まれた、と思います。
液晶がもっと大きくなることと携行性の両立があれば、これを基準に外形はデフォルメされていくでしょうね。
掲示板1の頃に私が書いた「今、構図を決めるために両手の指で四角枠を作って、風景を見るのと同じように、大きな液晶を見ながら風景をそのまま切り取る操作イメージ」(もう脇など締めてはおられません)のデバイスもその延長上に出てきそうですね。

> 秀丸は先週、新しいコンデジ(EX-Z400)を購入ましたが、予想以上に良く写るので驚きました!
> 2万円で買えるコンデジで綺麗な写真が撮れ、HD動画まで撮れるとは・・

おめでとうございます。CASIO EXLIMも初代のカードカメラから普通のデジカメになって久しいですね。
そうですか。静止画もHD動画も優秀ですか。価格を考えると確かに良いお買い物をされたものです。

> 自分の中で一眼レフへの拘りが無くなっていくのを感じずにいられません。

そうです。我々が扱うような星野写真など特殊用途では残るでしょうけど、民生一般用途で、被写体を威圧するような大きなデバイスなど要らないのです。

  1. 2009/06/24(水) 23:30:51 |
  2. URL |
  3. 亀田 滋
  4. [ 編集 ]

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亀田 滋

Author:亀田 滋
1996年にプロトタイプ公開で始まった「亀田 滋のホームページ」でご好評の「25cm口径反射望遠鏡『銀次』の部屋」(2008/10現在HP全体で12万5000超アクセス)と、掲示板のコーナー1、2(2008/10現在通算26万超アクセス)の続きはこちらで!

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